塾長補佐の金田です。
さて、
自前のホームページを持っていてもアクセスが集まらないと悩む個人事業主(自営業者)は多いと思う。
本来ビジネス向けのネット集客手段であるPPC広告は単価が高く資本のある大企業向きで、中小企業には競争入札で上昇していくPPC広告費の負担は結構苦しい。
そこで「今度はブログで集客をしよう。」と考えたある個人事業主の話を聞いて欲しい。
ある個人事業主は考えた。
「だったら、ブログで集客できないかな?PPCよりコストは低く抑えられるし・・・」
いつかどこかで見た記憶を頼りにインターネットで検索してみると、「個人事業主はブログで見込み客を集客しよう!」とか「個人事業主がブログをやらないのは損だ!」とか解説するサイトがたくさん出てくる。確かに書いてあるとおり実施すれば、なんとなく顧客は集まりそうだ。ランニングコストもPPC広告より圧倒的に安い。なんだ、タダでも出来るじゃないか。
そう思ってネットの記事で評価のよかったワードプレスを使い早速ブログを開設した。
しかしやってはみたもののブログには見込み客が集まらず、いや、それどころかアクセスが集まらない。
当然ホームページにも誘導出来ない。
「あれれ、なんか違うぞ?」
考えた個人事業主は、どうやればブログにアクセスが集まるのか調べ出す。ネットを検索したり本を読んでみたりするとだいたいこんな答えが出てくる。
・ターゲットを絞って記事を書こう!
・読んでもらえる記事を書こう! ・記事は1000字以上で! ・ツイッターと連携しよう! ・フェイスブックと連携しよう! ・SEO対策を実施しよう! etc. |
ふーん、結構いろいろやらないとブログの集客は難しいのかと思い、真面目で努力家の個人事業主は多大な労力を投入し教えられたとおりにブログ集客への施策を決意する。
ターゲットの気持ちを想像して記事の書き方を考え、ライティング技術を磨き、ツイッターやフェイスブックのアカウントを取得して連携させ、ブログにSEO対策を施していく。
ブログ集客に関しての知識はついたものの毎日クタクタになった。
1年後、悪戦苦闘のおかげでブログのアクセスは当初よりだいぶ増えた。
しかし売上も利益も増えないどころか減り続けていた。
個人事業主はなぜか?と考える。原因が分からない。
冷静になり、よくよく回りを見渡してみる。
すると個人事業主がブログの集客に悪戦苦闘していた1年の間に想定以上にコンペチターが増えており、扱っていた商材はコモディティー化が加速し、ビジネス自体が腐り始めていた。
この個人事業主の減収減益は、ビジネスはナマモノであることを軽視した結果であった。
確か、これに似た昔ばなしがあったよな。
集客のためにブログが本当に必要か?
ホームページは既に持っている。
そこで、ブログで集客しホームページへ見込み客を流そう!というレクチャーは確かに多い。
が、個人事業主はブログを開始する前にまず考えた方がいい。
なぜ、今持っているホームページ自体にアクセスが少ないのか?と。
本当にブログが無いからアクセスが少ないのか?と疑念を抱いて欲しいのだ。
今持っているホームページ自体にアクセスが少ないのはインターネット上の競合が多いか、検索需要が少ないかのどちらか(場合によってはどちらも)だ。前者の競合が多い場合はブログを作って集客すれば多少目はあるかも知れないが、後者の検索需要が少ない場合はブログを作ってもほとんど意味は無い。検索需要自体が少ないのにいくらコンテンツを増やしても仕方ないのだから。その場合は別の営業方法を考えるべきだ。
前者の場合でもインターネット上の競合から見込み客をどの程度奪えるのかをリサーチしてからでないとブログで集客を考えるのはリスクだ。競合が多いプロダクトやサービスでは、たかがブログ1個で集客がうまく行くとは限らないし、もしうまく行ってもやがて競合が同じようなブログを立ち上げてくるだろう。外注ライターやブログのスペシャリストを使えばそんな事は簡単だ。
まあ、ビジネスだから当然だよね。
ブログ・SNS自動連携による間接的コスト→作業の増加
個人事業主がブログで集客を本格的に行うには、ツイッターやフェイスブックなどのSNSとブログを自動連携させ記事を拡散させよう、と言う話もデフォだ。
一度設定さえすれば楽にSNSからアクセスを取り込めますよ!ってね。
確かに拡散するのかも知れないが、その分作業が何倍にも膨らむ可能性があるのを忘れてはならない。
「えっ?自動連携でするんだろ?]
って思うかもしれないが、それだけでは済まない。
ツイッターでフォローされたりダイレクト・メッセージが来たり、フェイスブックで友達申請が来たりコメントが来たりし出すからである。
SNSユーザーの反応を無視して商売を進めるわけにはいかないだろ?このため個人事業主に新たな作業が発生する。具体的にはツイッターでフォローしてくれたアカウントをリフォローしてダイレクト・メッセージに返信したり、フェイスブックの友達申請を承認してお礼のコメントを返したりするのだ。反応をくれたSNSユーザーが見込み客である保証は無い。
集客が成功すればするほど、こんな作業は増える。ブログの更新だけに留まらず間接的コストは増加していく。だが直接的には1円の売上にもなっていない。
「いや、SNSと連携したってそんなに作業は増えないよ。」
って意見もあるかも知れない。だがそれは、集客がうまく機能していないか、失敗しているからでは?という答えになってしまう。禅問答のようで悪いが。
ブログでの集客による見込み客の反応とリスク
仮に、頑張った個人事業主がブログでアクセスを集めることに成功したとしよう。
ブログのアクセス=見込み客の反応はどうなのだろうか?
- 個人事業主の日々の出来事を読むことで人柄を知り親近感が沸く。
- 個人事業主の扱っているプロダクトやサービスを知ることが出来る。
- 個人事業主の仕事に対する姿勢や日々の仕事ぶりを知ることが出来る。
というポジティブな反応も期待できる。しかし、
- ブログでセコセコ集客しているんだから儲かっていないのだろう。(広告宣伝に金を使えないのだろう。)
- 毎日ブログ更新するとかよっぽど仕事が暇なんだろうな。
- (ブログでの個人的な意見に対して)あ?なんだこいつ、偉そうなこと書きやがって。
というネガティブな反応も発生するはずだ。
ブログでの集客が必ずしも見込み客に好印象を与えるわけでは無いと心得るべきである。
リスクは知らないところで発生しているものだ。
ビジネスブログは匿名では出来ないから当然住所氏名屋号を公開し、時には顔を晒している人もいるだろう。その上でネガティブな反応へのリスクも飲み込まなければならない。
ブログ集客の間接的コストとリスクを認識しよう
一国一城の主たる個人事業主は激しいビジネス環境下で「ブログでの集客に精を出す」という間接的なコストとリスクをしっかりと認識しておこう。匿名でだいたい何を書いてもいい一般人のブログと、実名(屋号)で見込み客を集客する役割を持った個人事業主のブログは性質や重みが根本的に異なるのだから。
個人事業主のブログはワードプレスがいいとかアメブロがいいとか、日記みたいな記事は書かないほうがいいよ、なんて低次元の話はあまりにも暇な時にゆっくり聞けばいい。
インターネットの中の営業マンがドヤ顔で語りかけてくる。
・ブログ作ってアクセスをホームページに流せば商売が上手くいきます。やらなきゃ損! |
うっかり甘い言葉に釣られてしまい、クソのような集客テクニックの蟻地獄にハマらないよう、くれぐれも注意していただきたい。
どうしてクソって分かるかって?
ネットで公開されてる簡単な集客テクニックなんてみんなとっくの昔に知ってるからさ。今さらジローってヤツよな。
個人事業主にとってブログで集客する直接的コストは安く、その気ならタダでも出来る。
が、タダほど高いモノは無いと言う。
全ては自己責任である。
それでは楽しいブログライフを。
(了)
塾長補佐 金田三蔵
